英語で名著を読もう(1)Wuthering Height

 

 

 

1 はじめに

「英語勉強には教科書だけでは足りない」

「なかなか英語に対する興味が沸かない」

「知っている言葉の数が少ない」

という方にはやはり英語の名著を読むことをお勧めします。語彙量を増やそうとも、教科書だけでしたら絶対に足りませんし、新聞などは物語性がなく楽しくありません。しかし名著を読むと、変化に富んだ物語に魅了され、知らず知らずに多種多様な表現に触れることができます。しかも名著のほとんどは著作権が切れていますので、金かからずに勉強することができます。つまり、英語の名著の原文を直接読むことは、英語の読解力向上への近道とでもいえます。筆者は中学生の頃から英語の名著に惹かれ、高校生になった頃にはトーフルの読解の満点を獲得することができました。それも多分名著のおかげでしょう。

 

このブログで、筆者個人が好きな英語名著を抜粋し、単語表・理解問題を付し、皆さんの読解学習に役立つことを目指しています。ここに載せた文章は短い切り抜きですので、本気で読解力を上げたい方には、小説自体も併せて読むことをお勧めします。今回扱う「Wuthering Height」の全文は、「Wuthering Height pdf」という検索していただければダウンロードできます。

2「Wuthering Height」

「Wuthering Height」は日本語で「嵐が丘」と訳されています。エミリー・ブロンテが作者の悲恋小説です。ヒースクリフからThrushcross Grangeを借りて住む青年ロックウッドの視点から、ヒースクリフとキャサリンとの悲恋・復讐の物語を語ります。「世界の三大悲劇」・「世界の十大小説」と高く評価されています。

 

中学生の時この小説を初めて読んだんですが、それはなかなかな衝撃でした。日本文学で例えるなら、太宰治の「人間失格」を読んでいる時と似たような感情に襲われました。しかし「Wuthering Height」には「人間失格」にはない時代感があり、その点においてはむしろ「斜陽」を思い起させます。

今回抜粋した内容は、小説の最初のところでロックウッドが初めてヒースクリフに会うシーンです。

 

3 本文

「I have just returned from a visit to my landlord - the solitary neighbour that I shall be troubled with. This is certainly a beautiful country! In all England, I do not believe that I could have fixed on a situation so completely removed from the stir of society. A perfect misanthropist's heaven: and Mr. Heathcliff and I are such a suitable pair to divide the desolation between us. A capital fellow! He little imagined how my heart warmed towards him when I beheld his black eyes withdraw so suspiciously under their brows, as I rode up, and when his fingers sheltered themselves, with a jealous resolution, still further in his waistcoat, as I announced my name.

'Mr. Heathcliff?' I said. A nod was the answer. 'Mr. Lockwood, your new tenant, sir. I do myself the honour of calling as soon as possible after my arrival, to express the hope that I have not inconvenienced you by my perseverance in soliciting the occupation of Thrushcross Grange: I heard yesterday you had had some thoughts - ' 'Thrushcross Grange is my own, sir,' he interrupted, wincing. 'I should not allow any one to inconvenience me, if I could hinder it - walk in!' The 'walk in' was uttered with closed teeth, and expressed the sentiment, 'Go to the Deuce:' even the gate over which he leant manifested no sympathising movement to the words; and I think that circumstance determined me to accept the invitation: I felt interested in a man who seemed more exaggeratedly reserved than myself.」

 

4 単語

1 solitary 孤独な adj.

       ラテン語の「solitas」から由来する。日本語でいう「ソロ」と同じ語源を持つ。

 

2 stir かき混ぜる v.

  古英語の「styrian」から由来する。「storm」(嵐)と同じ語源を持つ。

 

3 misanthropist 人間嫌いの人 n.

    ギリシャ語から由来する「miso」(憎く思う)と「anthropos」(人間)と「-ist」(人を表す接尾辞)を合わせてできた言葉。

 

4 divide 分ける v.

  ラテン語の「dis」(離れている)と「videre」(分ける)を合わせた言葉。

 

5 desolation 悲しみ n. 

  ラテン語の「de」(完全に)と「solare」(孤独)から由来する言葉。いわゆる「完全な孤独がとても悲しいよ~」という意味合いがある。

 

6 capital  優れた adj.

  ラテン語の「caput」(頭)から由来する言葉。「capital fellow」はいわゆる「いい男」の意味

 

7 behold 注視する v.

  「be」=「by」は「○○の付近」の意味であり、「hold」は握るの意味。いわゆる手に握るように見るという意味合いであるから「注視する」という意味になる。

 

8 withdraw 引き抜く n.

  「with」(遠くへ)と「draw」(引く)を組み合わせた言葉。

 

9 suspiciously 疑わしげに adv.

       「sub」(下から)と「specere」(見る)に由来する言葉。下からこっそり見るというのは、疑っているということですね。

 

10 waistcoat チョッキ n.

 

11 tenant 賃借人 n.

     フランス語の「tenir」(持つ)の現在分詞。土地をもっているから賃借人の意味合いになった。「lieutenant」(中尉・少尉)も「lieu」(場所)と「tenant」(持っているひと)の組み合わせであるので、「tenant」とは同じ語源を持つ。

 

12 solicit 誘う v.

     フランス語の「soliciter」(誘惑する)に由来する。イギリスで法廷以外で弁護士の仕事をする「solicitor」も同じ語源を持っている。

 

13 Thrushcross Grange Heathcliffの別邸の名前

 

14 wince 顔をしかめる v.

    インド・ヨーロッパ祖語の「weng」(曲げる)に由来する。「wink」(ウインク)と同じ語源を持つ。

 

15 hinder 妨げる v.

    「hind」(後ろの。hind leg of a dog→犬さんの後ろ足)の動詞形である。「妨げる」というのは、「後ろに引っ張る、後ろ脚を引く」という意味合いから来ている。

 

16  utter  話す v.

    「out」から由来する。「話し出す」という意味です。

 

17 manifest 明らかにする v.

        「man」(手、フランス語の「main」と同じ語源)と「fest」(握る)の組み合わせた言葉。物事を手に握るようにわかるという意味から、明らかにという意味になる。

 

18 exaggeratedly  大げさに adv.

   「ex」(○○の外側)と「aggerere」(累積する)から由来する。累積して限界突破したから「大げさ」という意味になる。

 

5 問題

①Heathcliff(ヒースクリフ)はどのような人間に見えますか。

②ロックウッドはどこに住んでいますか。

③ロックウッドはどうして田舎に来ましたか。